テレビ朝日で好評放送中の「しくじり先生」。その番組内のコーナーの1つである、オリエンタルラジオの中田敦彦さんが世界の偉人たちの「しくじり」を解説する企画「しくじり偉人伝」。
2016年9月11日(日)には、ついにその中田さんによるスピンオフ的番組「中田歴史塾」が放送されました。
記念すべき第1回(?)の2つめのテーマは、インドという国について。誰もが名前は知っているけど、正直あまり詳しくは知らない「カレーの国」。そんなイメージの生徒たちに中田先生は言いました。「インドをなめるな」と。
というわけで、内容と感想を書いてみました。
先生の言う通りでした。
インドは映画がすごい
「ああ、あの、ただ歌って踊ってる映画でしょう?」
などと軽んずるなかれ。「ボリウッド」(ボンベイ+ハリウッドから付けられた俗称)とも呼ばれるインド映画産業は、世界でも最大の規模を誇り、世界中で注目されているそうです。
世界で最も稼いだ俳優ランキングには、あのジョニー・デップやレオナルド・ディカプリオを抑えて、インド人俳優3名がランクイン。アミタ・バッチャン、サルマン・カーン、アクシャイ・クマール……、失礼ながら3名とも全く知りませんでした。バッチャンおじさま、渋い……格好良い……。
インドはスポーツもすごい
インドで最も人気があるスポーツといえば、「クリケット」。日本ではほとんど知られていませんが、世界ではその人気は非常に高く、競技人口はバスケットボール、サッカーに次いで、世界に3番目という多さ。選手たちの収入も高めで、中でも最も稼いでいる選手、インドのマヘンドラ・シン・ドーニ選手に至っては、なんと年収39億円なのだとか。知らなかった……。
しかし、トータル4~5日間かかる試合って凄いなあ。試合中にティータイムがあるっていうのも斬新(さすがイングランド発祥スポーツ?)。Wikipedia先生によると、午前中プレーしてお昼休憩があって午後からプレー再開して、さらにアフタヌーン・ティーを楽しんで、プレー再開して終了なんだそうです。へえーー。知らなかった……。
インドはIT産業もすごい
現在のGoogleやMicroSoft、Adobe等のトップにいるのは、なんと皆インド人。中田先生によれば、世界は彼らが牛耳っているとのこと(!)。まあ、言い方はさておき、世界に名だたるIT企業のトップにインド人が多く就任しているのは、決して偶然ではないようで。
インドはIT産業に非常に力を入れており、インド工科大学(IIT)という、マサチューセッツ工科大学に並ぶとも勝るとも言われる高等教育機関を作っていて、非常に優秀な人材を育てては、世に送り出しているのです。
なぜ、これほどまでにインドでIT産業が盛んなのか。その背景には、インドの「カースト」制度があるといいます。
カーストとは、インドで3000年の長きにわたり存在する身分制度で、生まれ持った身分に応じて結婚できる相手も職業も決まっており、下層に位置する身分に生まれた場合、就ける職業は極めて限られてしまいます。
しかし、IT産業はほんの数十年前に生まれた、全く新しい産業。カーストの決まりの中に存在しない産業、すなわち、身分を問わず誰でもなれる職業なのです。しかも、IT全盛のこのご時勢、実力さえあれば世界中の企業から引く手あまた。そのうえ、もとイギリスの植民地だったことから英語にも堪能なので、即座にグローバルな活躍ができる。
今まで生まれながらの身分制度に苦しめられてきた若者たちに、努力と実力次第で多額の収入を得られるチャンスが巡ってきた。このチャンスをみすみす逃す手はありません。そのハングリー精神が、IT産業での成功に結びついたといわれます。これは日本人に真似しろと言っても無理かも……。
インドでIT産業が盛んなのは知ってた。でも、その背景にカーストが絡んでいることには思い至りませんでした。
我々が知っているのは世界のほんの一部でしかない
生徒たちは言いました。インドの俳優がジョニー・デップやレオナルド・ディカプリオより稼いでいるなんて知らなかった。クリケットがこんなに人気のスポーツだなんて知らなかった。世界のIT企業のトップをインド人が務めているなんて知らなかった、と。
それに対して中田先生は言います。
「知らなかったのは彼らが悪いのか?僕たちが悪いのか?」と。
この言葉、目から鱗でした。
我々は普段、日本のテレビや新聞、日本語で書かれたニュースサイト等からのみ情報を得て、それで満足しがちです。けれど逆に言えば、それら日本のメディアが取り上げない事柄に関しては、全くの無知に近いということ。日本のメディアが取り上げているものだけを目にして耳にして、それで世界のすべての情報が自分に届いていると思っている。けれどそれは大間違い、なのです。
我々が知っているのは世界のほんの一部でしかない。もっと世界に目を向けて、日本以外のメディアの情報にも触れて、積極的に情報を取り入れていかなければ、どんどん世界から置いて行かれてしまう。ああ本当にその通りだなあ、と思ったのでした。