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【感想】映画『フリーソロ』(ネタバレ)


フリーソロ (字幕版)

気になっていた映画『フリーソロ』を観ました!

とんでもなかった!!!(悲鳴)
 

どんな映画?

ロープなどの安全装置を一切使うことなく、己の身体のみで山や絶壁を登るクライミングスタイル「フリーソロ」

その分野において世界的クライマーであるアレックス・オノルドが、アメリカのヨセミテ国立公園にある世界屈指の断崖絶壁「エル・キャピタン」に挑む姿を描いたドキュメンタリー。

2019年の第91回アカデミー賞にて、長編ドキュメンタリー賞を受賞した作品でもあります。

観たかった理由

登山の経験はほぼないのですが、山や登山家の方々には以前からちょっと興味があったのです。

元々は、数年前に観光で上高地を訪れた際、穂高岳を見たのがきっかけ。
穂高の峰々を眺めながら、あんなところを登る人がいるんだよなあ……と思い、穂高岳山荘の支配人さんのブログ(ぼちぼちいこか)を読んで興味を深め、そこから日本の山や世界の山を検索してみるようになり。
その中でたまたま、このアレックス・オノルド氏の偉業のことを知って。

それがドキュメンタリー映画化されていたのをだいぶ後になって知り、興味が惹かれていたのでした。

感想

なんでそんなところ登るんだよ&登れるんだよ!?(悲鳴)

なんといっても開幕から度肝を抜かれたのがエル・キャピタンの凄まじさ!

高さ975mに及ぶ、文字通り冗談抜きの「絶壁」。足場など無いに等しく(岩の表面のわずかな凸凹でしかない)、「くぼみに手をかけて、腕力で体を引き、壁に足を押し付けて登る」とかいう信じがたい登り方。なんでそんなわずかな支点で体重を支えていられるのかわかりません(体重何キロなんだ??)。誰だこんなところ登ろうなんて最初に思いついたの!?

真に恐るべきは、これがCG一切なしの「リアル」だということ。
CGに慣れすぎているせいで錯覚しそうになるけど、あの断崖絶壁の光景は正真正銘の「実写」で、一歩間違えば確実に即死する状況で。

観客である私は、これが映画で、「アレックスが偉業を成し遂げた」という結末をあらかじめ分かっていたから見ていられましたが、それでも彼の登攀中、握った手の汗が半端なかったです。この挑戦をリアルタイムで見届けていた関係者各位の心境はどれほどだったでしょう……(途中カメラマンが「よく見ていられるな」と零していましたが、本当にそうだと思いました)

「死」に向き合うからこそ感じる「生」

人はみんないつか死ぬし、それはもしかしたら明日かもしれない。言葉ではわかっていても、日常生活の中ではなかなか実感できないのが実際のところで、でもフリーソロはそんな甘えを一切許さない。少しでも間違えば、確実に「死」が待っている。

だからこそ、全力で挑むし命を賭ける。死と向き合うからこそ、達成したときに素晴らしい感動を味わえる。「生」を実感できる。もちろん実際に死にたくはないから、事前にロープをつけて何度も何度も登り、経験を積んで手順を頭に叩き込んで、万全の状態で挑むという……

アレックスのその姿勢は、本当に「メメント・モリ」というか、「武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり」というか……。アレックスも作中で「侍の世界に浸るのが好き」と語っていたけど、確かに死生観は合っているのでしょうね。

エル・キャピタンの頂に立って彼が得た「生」の実感は、はたしてどのようなものだったのでしょうか。それを知ってみたいと思う気持ちはありつつ、でもいざ知ってしまったら、彼と同様にその虜になってしまうんだろうなと思います。いやあ、無理だなあ……。

おわりに

命を賭けてでもあんな断崖絶壁に登りたいと思う感情は、自分にはとても理解できないけれど。
でも、それを夢見て、実際に成し遂げてしまう人々に、あらためて畏敬の念を抱くのでした。

エル・キャピタンを制したアレックス、彼が次に目指すものはどこなのでしょうか。

フリーソロ (字幕版)

フリーソロ (字幕版)

  • 発売日: 2019/12/04
  • メディア: Prime Video