先日、お出かけ先の駅でOSK日本歌劇団のポスターを見かけたのですが、そこに「作・演出:荻田浩一」という表記を見つけて、うおおオギーだ!!と懐かしく思ってしまいました。
かつて宝塚歌劇団にいらっしゃった演出家さんで、個人的に宝塚で一番好きな演出家さんだったのです。ああ懐かしい……。
宝塚のイメージを良い意味でぶっ壊しておられた方
宝塚といえば、近年は逆転裁判やら相棒やらルパン三世やらいろんな方面に挑戦していますが、今もなお世間一般でのイメージは「ベルサイユのばら」のようなキラキラ系なのではないでしょうか。
華やかで明るくて、愛と夢と希望で満たされたラブロマンス。
切ない悲恋ネタなんかもあるけど、基本的にはハッピーエンドで終わる、カラフルな衣装と光と笑顔で満たされた非日常のファンタジー。
……が、荻田さんが手がける作品は、そんな宝塚の既成概念を真正面からぶっ壊すダークな要素が多かったのです。
作品によりますが、全体的に不穏でシリアスな作風。
重たい過去を持ち、「愛だの夢だのそんなもの幻に過ぎない」的なことを平然と言ってのける主要人物たち。
『螺旋のオルフェ』なんてもう、前述のキラキラした宝塚のイメージとは程遠い重苦しい作品で、初めて見たときは度肝を抜かれたことを覚えています。メインヒロインがあんなことになる宝塚作品なんて他にあるだろうか*1。
あげく、トップスターの退団公演で、ショーのモチーフに蜘蛛をもってくるとか、もう(良い意味で)ぶっ飛んでるとしか言いようがありません。他の演出家ならしないだろうことを平然とやってのける!そこに痺れる憧れるー!!*2
光や水の演出が本当に素晴らしかったのです
それでいて、そんな闇を描く一方で、とても美しく幻想的な「光」を描く演出家さんでもありまして。
タカラジェンヌの方々の表現力や衣装も勿論ですが、照明や背景や音楽を駆使した光や水の演出が、もう本当に素晴らしくて。
『パッサージュ―硝子の空の記憶―』とか『バビロン―浮遊する摩天楼―』とか『ロマンチカ宝塚'04―ドルチェ・ヴィータ!―』とか、本当に何度も観たくなるほど綺麗でした。
場面転換も本当に自然でね……曲中の歌の歌詞も厨二病くすぐられる歌詞でね……本当にすごい良かったんです……(←語彙が足りてない)
ちなみに演目中の楽曲も、宝塚の作品は基本的にオーケストラの生演奏によるものなんですが、荻田氏の場合は要所要所で打ち込み系の楽曲を使ったりしてて。その演奏も格好良いのが多くて大好きでした。
『パッサージュ』の中盤の「Holidays」なんてガチで痺れましたもの。美穂圭子さんと未来優希さんのコーラスも相まってさあ……本当にあれは神だった……。
なんでこんな神演出家手放したんですか宝塚さん……(´・ω・`)
もう演劇観賞からは離れてしまって久しいけれど、
いつかまた、オギーワールド全開の作品を生で観劇してみたいなあ。
そんな思いにとらわれる私なのでした。