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日々見聞きしたことの感想、思ったこと、考えたことをアウトプットするブログ

【感想】映画「エイプリルフールズ」

「リーガルハイ」のスタッフが送る、壮大な芋けんぴ販促映画でした(嘘)。

※全力でネタバレしてますのでご注意ください。

あらすじ

4月1日。外科医・牧野亘(松坂桃李)との一夜限りの関係で妊娠した新田あゆみ(戸田恵梨香)は、テレビで流れた「願い続けていれば奇跡が起きる」という言葉に背中を押され、亘に妊娠したことを伝える。だが、亘は「エイプリルフールの嘘だろう」と、全く信じてくれない。業を煮やしたあゆみは、亘のいる店に向かうが……。

イタリアンレストランでの大惨事

コミュ障の妊婦と、息を吐くように嘘をつく偽天才外科医。
彼女が芋けんぴをしょっちゅう食べていたのは、芋けんぴに含まれる成分が人間関係を良くする、という亘の嘘を信じたから。

コミュニケーションがうまくとれないことに関して「気にすることない。病気じゃなくて個性なんだから」と言ってくれた亘は、あゆみにとってまさに「自分を救ってくれた」人で、そんな人が「芋けんぴが良い」と言ったならそりゃ「信じることにする」よ……(´・ω・`)

松坂桃李さん演じる亘は、前半では本当に「ドクズ」そのものでしたが、後半では自分の弱さも受け入れた上ですっかり男前に。全力で「自分は医者だ」という嘘をついて、あゆみの出産をサポート。
そのまま良き父親になってくれることを願います。

ちなみに、レストランに居合わせた菜々緒さんは、てっきり完全悪女だと思ってたら普通に善人で逆にびっくりしました(←失礼)。予告CMで見ていた「うっそぴょーん」も、想像してた使われ方とは違った。助産師目指して是非頑張ってほしいな。

42年ぶり涙の生還

あゆみが亘に連絡するきっかけになった、朝のニュース番組での報道。
⇒自作自演の嘘でした。
完全にチョイ役なのにめちゃくちゃ存在感を放つ生瀬勝久さん、さすがです( ̄▽ ̄;)

僕は宇宙人

自分が宇宙人だと完全に信じ込んじゃった不登校の少年。
地球を去る前にやり残したことをするべく学校へ向かい、イジメっ子をフルボッコにし、好きだった女子のファーストキスを奪って団地の屋上でUFOを待つも、当然待てど暮らせど来るはずもなく……と思いきや、まさかの(ry

UFOが来ないことなんて観客としては分かりきっているので、「あああ、この子明日からどうやって暮らしていくんだろう……」と冷や冷やしながら見てました。「早くここから連れ出してよ」という嘆き、あれが本心だったんでしょうね。うまくいかない現実から逃げたい気持ちが、あんな嘘を信じ込んでしまったんだろうな。。

「屋上で宇宙船呼んでるそこの馬鹿、現実に立ち向かえ」

その気になれば現実は変えられる。
最後まで少年の身を案じて残っていたのは、彼がキスした女子と、フルボッコにしたイジメっ子。彼の行動は確かに現実を変えたのでした。

4月2日以降の彼に幸あれ。
……ふつうの4月2日が彼に訪れたのかどうかは分かりませんが。

ロイヤル夫妻の休日

リムジンを貸し切り、超高級な服を購入し、豪華客船でのディナーを楽しむ、「宮内庁の職員とその奥様」。……というのは嘘で、実はごくごく一般的な家庭の夫婦で、奥様の病気が治った快気祝いに、ぱーっとお金を使っていただけ。……というのも嘘で、本当は奥様の病気はもう手の打ちようがなくて、せめて1日楽しく過ごしてほしいと願ったご主人の嘘。
でも奥様は、嘘だと分かったうえで、最高のエイプリルフールを楽しんでいたのでした。

彼女が豪華客船で歌った「アメイジング・グレイス」は、単語で直訳すると「素晴らしい親切・好意」。ご主人の嘘を指しての選曲だと思うと、切ない……。

音ゲー勢としては「maimai」が出てきたのが思わずにやりとしたところ。

不器用な誘拐犯

母親の再婚後、親に構ってもらえなくて寂しさから万引きを繰り返していた女子小学生と、そんな彼女を誘拐したヤクザ風の誘拐犯。身代金目的といいつつ、ラーメン屋にも連れていくし遊園地にも連れてってあげる。その正体は、彼女の実の父親でした。

しかし、実の娘が「中学を出たら家を出てふーぞくで働く」と言ったからって、実際にふーぞくのお店に連れていってあんな場面やこんな場面を見せるとか、実の父親のすることか( ̄▽ ̄;)
いやまあ荒療治というか、遠回しにこんなところで働くな、というメッセージだったのでしょうけれど。

「あいつは何も悪くないんだよ。だから悪さしたら叱ってやれ。抱き締めてやれ」

元妻にそう告げ、再婚相手(=リムジンの運転手)に頭を下げ謝罪した誘拐犯。娘から「お父さん」と呼ばれても必死で否定する等、どこまでも不器用なお父さん。だけど、彼のおかげで、家庭内不和は解消に向かっていくのでした。

しかし、バッグを入れ替えた娘さん、結果から言えばグッジョブ。w

ある大学生の行末

一般的な学生2人組。片方が「実はゲイでお前のことが好きなんだ」と嘘をついたら、実はもう一方が本当のゲイで、奇跡だと大喜びした後に勢い余って押し倒され(ry

……えーと、とりあえず、その、ごちそうさまでした。←

占い老婆の真実

占いを騙ってお金儲けをしてた自称「教祖」のお婆さんと、彼女をネチネチ取り調べる酒浸りの刑事。
ただのインチキ占い師だと思ってたら、どうも「能力」自体は本当にあったっぽい? 刑事のトラウマを言い当てたり、青年が交通事故に起きることを予言したり。でもただの芋けんぴを袋に詰めて10万円で売るのは酷いw

それにしても、刑事を演じた高嶋政伸さんは相変わらずの怪演でした。
正 当 防 衛 だ な ぁ( に や り )。

おわりに

嘘も方便。本来良くないことだけど、場合によっては必要だったり、良い結果につながることもある。亘の嘘はあゆみを救い、ご主人の嘘は奥様を救い、お婆さんの嘘は少年を救った。

最後は皆良い方向に落ち着いたようで(?)、めでたしめでたし。
笑いあり感動ありの良い映画でした。

さて、芋けんぴでも食べるかな……。