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【感想】映画「四月は君の嘘」(ネタバレ)

その嘘は、とても切ない嘘でした。

※以下、ネタバレを含みますのでご注意ください。

あらすじ

かつて「ヒューマンメトロノーム」と称されるほどの正確無比な演奏により、神童と謳われた天才ピアニスト、有馬公生(山崎賢人)。だが、彼はとある理由から、ピアノの道を自ら捨ててしまっていた。

ある日、彼は幼なじみからの紹介で、宮園かをり(広瀬すず)という少女と出会う。彼女は、かつての彼とは正反対で、楽譜の指示などまるで無視した自由な演奏をするバイオリニストだった。

彼女との出会いをきっかけに、公生は再びピアノへと向き合うことになるのだが、彼女にはある秘密があり……。

感想

呪縛から解き放たれた少年の物語

母の死をきっかけに、「演奏に集中するほどピアノの音が聴こえなくなる」現象に苛まれてしまい、その苦悩ゆえに、ピアノから長らく遠ざかってしまっていた公生。演奏中に鬼気迫る表情の母の幻覚を視たりと、その心は、母の遺した「呪い」に囚われてしまっていました。「完全に楽譜通りに弾かなければならない」という呪いに。

……うん、呪いと言ってしまって良いと思うんだ。
作中では「贈り物なのかも」なんて言われていたけれど。

壇れいさん演じる母・早希の、公生に正確無比な演奏を強制し続ける姿は、正直見てて怖かったです。彼女は彼女なりの愛情ゆえに、公生が将来プロのピアニストになれるようにと厳しく教えたのでしょうが、それにしたってコンテストで優勝したのに平手打ちはないでしょうに。いや、彼女にしてみれば「たかがそんなコンクールで優勝したくらいで」かもしれないけれど、それにしたって……。

演奏の途中で音が聴こえなくなるのは「贈り物」というけど、それだって、果たして本当に贈り物なのか? と。
自分の中に音がある、その通りに弾けば良いんだ、と公生が納得したのは分かるけど、それはあくまで昔よく聞いた「母が奏でた音楽」であり、その演奏は、言うなれば母の模倣でしかないのでは? 全く聴いたこともない新曲は弾けないってこと?
それとも、終盤の「さよなら、母さん」のあの時点で、呪いは解けた(=ピアノの音が聞こえるようになった)ってことで良いのかな。それなら良いのだけれど。

そんな呪縛も、かをりに出会ったことで解けた。
五線譜の中に縛られていた彼は、かをりのおかげで自由を得ることができた。
彼はこれから、再びピアノの世界で生きていくことができるのでしょう。良かったね……!!

「自由」そのものだったかをりちゃん

広瀬すずさん演じる「かをり」。
その生き方は本当に自由そのもので、死の恐怖と戦いながらも残された時間を精一杯生き抜いていた姿には、思わず涙腺に来ました。
余命いくばくもない、という割には終盤まで超元気印に見えたんだけど、あれは公生の視点で見てたからそう見えてたってことなのかな。

彼女の恋、そして彼女の「たった一つの嘘」が、公生の人生を変えた。
この映画のタイトルにも含まれる「嘘」というキーワード。一体どんな嘘なんだろうと思ってたら、まさかのそういう嘘(公生との出会いを作るための「亮太が好きだ」という嘘)だったとは……。
椿ちゃんには本当にごめんなさいしないといけなかったね……。

結局、「四月は君の嘘」っていうのはどういう意味だったんだろう?
ラストシーンで迎えた春(四月)=「かをりの嘘」がもたらした未来、ってことで良いのかな。。


「ちはやふる」上の句・下の句に続いて見た広瀬すず主演映画。
「ちはやふる」2部作が2016年3月~4月公開で、この「四月は君の嘘」が2016年9月公開って、どんだけハイペースなんだよ!? と思いつつも、「ちはやふる」とはまた違う彼女の演技を見ることができ、楽しめた2時間半でした。

四月は君の嘘 DVD 通常版

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