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【感想】ドラマ「天才を育てた女房~世界が認めた数学者と妻の愛」

金曜ロードSHOW!枠にて放送されたドラマ。
天海祐希さんと佐々木蔵之介さんの名演が光る良作でした。
天才と共に生きるって、大変だ……。

あらすじ

数学において世界的な業績をもたらし、文化勲章を授与された天才数学者・岡潔。だが、そこに至るまでには、数え切れないほどの苦難と孤独があった。
これは、ずば抜けた頭脳を持つが故に苦しみ続けた天才と、それを献身的に支え続けた妻・みちの物語――。

感想

みちさんの献身ぶりが凄すぎた

本当にまあ、よくあそこまで支え続けられましたね奥さん……。

天海祐希が演じた主人公、みち。
数学に関してはまさに天才、しかし裏を返せば数学しかできない夫を支えるために、まさに身を粉にして働き続けた妻。
普通の人と一緒になっていれば、もっと普通の人生を送ることもできたろうに……。

でも、潔のようなぶっ飛んだ数学者に惹かれた気持ちはちょっと分かります。
自分もみちと同じく、数学はかなり弱いほうでしたが、「自分とまるきり違う世界が見えている人」には、すごく興味を惹かれるんですよね。その頭の中いったいどうなってんだろう、と。
いやでもさすがにここまで苦しいと無理って言っちゃうけども( ̄▽ ̄;)

収入も安定せず、さらには戦争も始まりどんどん困窮していく中での「2人目の子ができました」には流石に「なんでやねん!?」と突っ込んでしまいましたが。しかもその後さらに3人目もできてるし!
でも、潔の世話もしつつ、3人とも見事育てきったみちさん。ほんと凄いわあ……。

岡潔氏は確かにぶっ飛びすぎてた

佐々木蔵之介さん演じる岡潔氏は何かもう、本当にぶっ飛びすぎてて、確かに「普通から一番遠い人」でした。
社会の常識なんかどこ吹く風で、まさに子どものよう。

空気を読むことも教授に媚を売ることもしないし、「あなたには自分の理論を理解できないと思います」とか平気で言っちゃって、教授から嫌われて追い出されてしまうはめに。
もうちょっと世渡り上手なら、みちさんも楽できたろうに……。

いや、そんな常識外れの天才が、気が狂うほどの情熱と人生をかけて研究しなければ、あの世界的な業績は上げられなかったのでしょうけどね。
みちさんに出会えてほんと良かったねえ……。

あの京大教授は超ムカついた

立川談春さん演じる京都大学の数学科教授・木下則雅。
ググっても名前が出てこないけど、この物語オリジナルの架空のキャラなのかしら。
実在してたら申し訳ないんですが、少なくともこの物語においては、本っっっ当に嫌な奴でした。謝罪の! ひとつも! ないのか!

潔が無礼な物言いをしたのは確かですが、だからって彼の理論を理解しようと努めもせず、潔が論文を書いたら書いたで、理解できませーん皆さんもそうですよねー!と晒し上げるとか、この人本当に数学者? 京大の数学科教授まで上り詰めた人?
そのくせ、自分が気に入った教え子は盛大に渡米壮行会開くとか。自分がみちならブチ切れてましたね。潔のことはさんざん冷遇しといてこの仕打ち?

潔が認められた暁には、さすがに自分の至らなさを恥じて謝るんだろうな?と思ってたら、謝るどころか最後に何か良いこと助言したっぽい振りしてて、思わず怒りを通り越して笑ってしまいました。何様なのあの人。
いやでも、彼が潔をパリへ留学させなかったら、後の三大問題の解決もなかったのか……。いやでも……うーん……。

……うん、まあ、つまり。
結論としては、「ずば抜けた頭脳の持ち主は、この国の中に留まってなんかいないで海外へ行け」ということでよろしいか。よろしいな。

おわりに

苦難の末、ついに自らの数学理論を認めてもらえた潔。
その成功には、言うまでもなく、みちの献身的すぎる支えがあったわけで。
そりゃあ文化勲章もあげたくなるし、生まれ変わっても再び結婚してくれって言いますよね。そしてみちさんはもう堪忍してって言いますよね(笑)。

――スミレは、自分がなぜ咲いているかなんて知らない。
ましてや、それが何の役に立つのかなんて考えもしない。
ただ、そこに在るがまま咲いているだけ。
そんなふうに、主人は数学だけに人生を捧げてきた。

そして、そんなスミレは、「美しいじゃないですか」
みちのその言葉には、数学も、そして潔が数学に捧げてきた人生も同じように美しい、という意味も含まれているんでしょうね。
本当、良くできた嫁さんだわあ……。
……でも、もしも来世でも一緒になれたなら、少しは楽をさせてあげて欲しいけれど( ̄▽ ̄;)

そういえば、そんなスミレがキーワードになるこの作品の主人公を、スミレの花咲く宝塚の元トップスター・天海祐希さんが演じたのもまた一興ですね。
キャスティングもそのあたり考慮された、のかな?

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岡潔 数学を志す人に (STANDARD BOOKS)

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