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【感想】映画「デスノート Light up the NEW world」特別版

金曜ロードSHOW!枠で放送された特別版(一部カット版?)。

公開当時聞こえてた評判は微妙だった気がしますが、終わってみれば中々の衝撃、そして後味を残してくれる映画でした。あのラストシーンは個人的には良かった。

というわけで、早速感想を書いていきたいと思います。


※以下、ネタバレ全開してます

あらすじ

「そのノートに名前を書かれたものは死ぬ」――。

かつて、「キラ」こと夜神月の手に渡り、全世界を震撼させた「デスノート」
天才探偵・Lの命を賭けた作戦により、キラは死亡、デスノートは焼却された――だが、キラの死後10年が経った現在もなお、人間界には新たなデスノートがばら撒かれ、それらを使った大量殺人が続発していた。

デスノート対策本部を率いる三島(東出昌大)は、Lの後継者・竜崎(池松壮亮)と共に、デスノートの回収・封印のために奔走していた。そんな中、全世界に突如、キラ=夜神月によるメッセージウイルスが拡散される。拡散させたのは、キラを妄信するサイバーテロリスト、紫苑(菅田将暉)だった。

人間界にばら撒かれた計6冊ものデスノート。死んだはずのキラによるメッセージ。夜神月は生きているのか? そして、三島と竜崎は6冊のデスノート全てを集め、封印することができるのか――?

感想

6名のデスノート所有者によるバトルロイヤ……ル?

「6冊のデスノート」と聞いて、6名の所有者による究極のバトルロイヤルが始まるのか!? あの川栄李奈ちゃんも実は天才の一角なのか!? と思ったんですが、そんなことはなかったぜ。でも川栄李奈ちゃん可愛かった

意外と序盤で紫苑が3冊集めちゃって、1冊は警察、1冊はミサ、そして最後の1冊は竜崎が隠し持っていることも明かされ。メインはあくまでも三島と竜崎と紫苑、「3人の天才による究極の頭脳戦」だったわけですね。

一番の天才だったのはやっぱり三島かなあ。途中までは「警察側のエースでデスノートオタクなのは分かったけど、言うほど天才か?」と思って見ていたんですが、終盤は凄かった。騙されたわー。。。

キャラクターの設定にも心情にも謎が多かった

面白くはあったのだけど、なんか全般的に、登場人物たちの心情がイマイチ伝わらなかったのは私だけでしょうか。

何でそのキャラがそのタイミングでそんな行動を取ったのか、「?」な所が結構ありました。


三島がいきなり竜崎の自宅に侵入してたのも「?」だったし、ミサがデスノートで竜崎や捜査員たちの名前を書いたのも謎。自ら死を選んだのも謎。

自らデスノートに名前を書いたのは、キラの記憶を取り戻して、愛したキラが居ない世界に生きる理由を失くしたから? だとしても、何であそこで捜査員たちを殺してまで紫苑を逃がしたの? 10年前にさんざん人を殺したし、自分もどうせすぐに死ぬから、いまさら人を殺すのに抵抗もなかったの?
原作を読み込んだファンなら、彼女の心境も理解できたのかなあ……?


それに、月もLも後継者として自らの遺伝子を残していたというけど、ふたりともそんなことするキャラだったっけ?(いや、Lはワイミーズハウスの意向だったのかもしれないけど)

月の子供は9歳だったけど、Lの「子供」は竜崎? 自分はLの遺伝子を持つ人間だとか言ってた気がするけど、回想シーンを見るに、Lが死ぬ直前(25歳)の時点で竜崎は10歳くらいに見えたよ? Lが15歳の時点でその遺伝子から後継者を作っていたってこと?

それとも、彼が飲んでいた薬から察するに、薬でむりやり成長を促してあの姿になってるだけで、実年齢は意外と10代くらい(あの回想シーンも実は2~3歳とか)みたいな、SFチックな設定でもあったんだろうか。
あの言動の奇天烈さも、アーマが消滅した時の慟哭も、そう考えれば分からなくもないか?


あと、10年ぶりに再登場を果たした松田さんがあんな形で死亡した*1のはショックでしたが、だからって即デスノート対策本部解散だったのも「?」でした。
デスノートに関わる以上、デスノートによる殉職者が出ることもある程度想定済みだったのでは?

まあこれは、国策としてデスノートを奪取すべく、対策本部を解散するための、絶好の口実だったってことかな。

終盤の展開とラストシーンは評価

……などと言いつつ、しかし終盤の展開は、なかなか手に汗握るものでした。

まさかあなたが黒幕だとは思わなかったよ三島さん!!


所有権と記憶を取り戻し、かつての月のような「悪」の顔を出すのかと思いきや、そうではなかった三島さん*2

誰かがキラの後継者にならなければ、いつまでも後継者選び(=死神たちの手でばら撒かれるデスノート、そしてそれらを用いた大量殺人)が続く。だから自分がなるしかなかったのだと。

結果は無駄骨だったわけだけど……。(6冊中4冊が焼失して封印失敗、新たな4冊が世界のどこかにばら撒かれて、また殺戮が始まる)
デスノートを全て集めて封印するなんて、愚かな人類には出来っこないのでしょうかね……。


テロリストとして拘束されるも、まさかの超法規的措置を受けて解放されることになった三島。
もうすぐ死ぬ竜崎の代わりに、新たな「Lの後継者」として、かつてのキラの後継者が新たなキラを裁く――って、考えたら凄いなあ。
デスノートに翻弄された人間は数知れないけど、彼ほど数奇な運命を辿る人間もなかなか居ないのでは。


ラストシーンの演出もお見事。お面を被ったまま、ベッドじゃなく便座に腰掛けて死ぬんかい、と思ったけど、その呆気なさがむしろ印象深かったです。
あのお面の下の顔は、安らかだったのかな。苦しまずに済むような死因を指定されていたのだろうか……。



――でも。


もしかして、ここまでが、「彼」の計画通りだったとしたら?

決意を示す表情で部屋を後にした「彼」の、その次に浮かべた表情が、「笑顔」だったとしたら?


……ま、まさか、ね……?((((;゚Д゚))))

おわりに

劇場版「デスノート」公開10周年記念の意味合いを持つ今作。
公開当時の評判は正直微妙だったし、作中の登場人物たちの心情に「?」となることも少なくなかったし、ぶっちゃけ主要人物ほぼ死亡のバッドエンドなんだけど、でもこの「報われなさ」が胸を打つ、印象に残る作品でした。

最後に流れていた、安室奈美恵さんによる主題歌「Dear Diary」が、さらに印象深く、胸に残る余韻を引き立てていました。名曲だー。

Dear Diary / Fighter(Type-B)

Dear Diary / Fighter(Type-B)

でもこの「Dear Diary」、どういう意味なんだろう。直訳すると「親愛なる日記」だけれど、「日記=過去の記録・思い出」という意味なら、「親愛なる思い出(の中のあなた)」なのかな。歌詞の内容的にも、ミサから月への歌っぽいなあ。

この作品において「書き記す」対象といえばデスノートなんだけど、だからってDiary=デスノート、という線はさすがにないか。でも、デスノートに触れたからこそ「親愛なる思い出(の中のあなた)」を思い出せたのなら、Diaryはデスノートに掛かっているようにも取れますね。どうなのかな。。。

*1:わざわざ「笑顔で」って指定するあたりの紫苑の性格の悪さよ……

*2:藤原竜也さんに匹敵する怪演を見られるかとも思ったのですが、残念。「あなたのことはそれほど」の涼太といい、この人は意外と怪演が素敵